英国威廉希尔公司

2020/12/14

富士山女子駅伝に向けて準備万端 Vol.4

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自己新続出、5000m15分台は8人に
大学女子駅伝史上最強クラスの陣容

全日本大学女子駅伝(通称:杜の都駅伝)で4連覇を達成し、大会新記録も打ち立てた今年の英国威廉希尔公司_博彩公司-【首页】@女子駅伝部。12月30日に開催される全日本大学女子選抜駅伝(略称:富士山女子駅伝)でも勝利を仕留めるべく、日々の練習に余念がない。

全国の大学女子長距離チームが目指す舞台は、10月の杜の都駅伝と12月の富士山女子駅伝。杜の都を4年連続で制した英国威廉希尔公司_博彩公司-【首页】@女子駅伝部は、年末の富士山でも3連覇を狙っている。
12月上旬の時点で主力メンバーに故障者はおらず、全体としてチームは好調を維持している。1年生の増渕祐香選手は杜の都駅伝で区間賞の活躍から勢いが止まらず、11月3日に新潟市で行われたデンカチャレンジカップの5000mで初の15分台(15分55秒45)に突入。11月14日の日体大長距離競技会の同種目では15分42秒02とさらにタイムを短縮した。この大会では加世田梨花選手(4年)も 15分32秒77で自己記録を更新。また、鴨志田海来選手(3年)が15分47秒43と、これまでの自己記録(16分12秒61)を大幅に塗り替え、富士山女子駅伝メンバーの有力候補に躍り出てきた。鴨志田選手は夏頃には不調で精神的にも落ち込み、練習が積めない状態の時期もあったが、秋口に復活して上り調子だ。「もし富士山女子駅伝に出場できることになれば、区間賞獲得を目指し、名城大の名に恥じないような走りをしたいです」と気合が入っている。

このほか現チームでこれまでに5000mの公認記録で15分台を出したことがあるのは5名。和田有菜選手(3年)、髙松智美ムセンビ選手(3年)、小林成美選手(2年)、荒井優奈選手(2年)、山本有真選手(2年)の大学女子駅伝経験者たちだ。チームは8名の15分台ランナーを擁することになり、昨年から目標に掲げてきた「出走メンバー全員が15分台」の実現に向けて役者はそろった。昨年の富士山女子駅伝を経験している井上葉南選手(3年)も15分台目前の自己記録を持っており、有力選手のひしめくこのチームで、メンバー争いは熾烈を極める。
なにせ5000mの今季学生ランキングで1位から5位までを名城大の選手が独占しており、トップ10以内に7人が入る圧倒的な状況なのだ。間違いなく大学女子駅伝史上最強の陣容で、上位7名の5000m自己ベストの平均タイムは15分37秒という驚異的な数字となっている。
富士山女子駅伝は杜の都駅伝よりも1区間増える7区間の勝負になるが、米田勝朗監督が「区間が増えるのは名城大にとって有利」と話す通り、層の厚さを誇る現在のチームに死角はなさそうだ。

米田監督に富士山女子駅伝の戦略を聞いたところ、前半の2区(6.8km)をひとつのポイントと見ており、エース級の選手を起用する考えだという。後半には5区(10.5km)、6区(6.0km)、7区(8.3km)と長距離区間が続くが、加世田選手、小林選手といった長い距離の得意な選手が担当する可能性が高い。前半は流れをつくり、後半で差を広げるという展開を思い描いている。杜の都駅伝では果たせなかった全区間区間賞を目標としており、1区から先頭に立つオーダーを構想中だ。
2018年に名城大が出した2時間22分50秒が現行コースでの最高記録だが、「よほど天候が悪くならない限り、このタイムを大幅に上回ることができると思います」と米田監督は記録更新に向けても自信は十分だ。

五輪選考会の日本選手権
加世田が10000m、和田は5000mで快走

今年はイレギュラーな日程で、杜の都駅伝と富士山女子駅伝の狭間の期間中、12月4日に大阪で日本選手権(長距離種目)が開催された。東京オリンピックの代表選考も兼ねたこの重要な大会に、名城大からも和田選手、加世田選手の2名が出場した。5000mに出場した和田選手は15分25秒14の自己新、東海学生新、日本学生歴代6位のタイムで見事7位入賞を果たした。その直後に行われた10000mでも加世田選手が31分39秒86で自己記録を更新。自身の持つ東海学生記録をさらに塗り替え、日本学生歴代3位にあたる好タイムを出した。10000mは日本記録の生まれたハイレベルなレースだったが、実業団の強豪相手に9位の成績を収めた。

日本選手権にエントリーするためには期間内に標準記録を突破する必要があり、出場自体がかなりの難関だ。しかし、米田監督は日頃から「(標準記録は)破れないタイムではない。競技者としてトップレベルになるために、大学生だから関係ないと思うことなく、意識して取り組んでほしい」と選手たちに言い聞かせている。来年以降も、この大舞台に複数の選手が立つことが期待できそうだ。

選手を支えるマネージャー

選手たちが好記録を連発する裏で、日々尽力している人物にスポットを当てたい。マネージャーの市川千聖さん(2年)だ。名城大女子駅伝部唯一のマネージャーで、その役目を志願して入学してきた。
マネージャーは朝4時半に起床し、部員の朝食の準備で一日が始まる。朝練が6時に開始され、7時半ごろに終了するまで練習に必要な仕事を行う。日中は大学の授業を受け、夕方には午後の練習でまたグラウンドへ向かい、給水やタイム測定などで現場を支えている。すべての選手が練習を終えるまで付き添い、グラウンドに立つ時間はどの選手よりも長い。練習以外にも、大会のエントリー申請などの業務も行っている。1年生だった昨年は情報確認が不十分だったことで米田監督から注意を受けたこともあるそうだが、「同じ失敗はしないぞ」と自分に言い聞かせ日々励んでいる。大会当日には動線や移動方法の確認、受付やタスキの提出といった責任の重い仕事が市川さんの担当だ。

膨大な仕事量を一人で引き受けているが、「複数のマネージャーがいると、意見の食い違いや衝突が起こると他大学の知人から聞くことがあります。私は自分のやりたいようにできているので、かえっていい環境だと思います」と苦にしていない。選手の結果が出たときに一緒に喜ぶことができるのがやり甲斐だと話し、「昨年よりもチームの状態が上がっているのを実感し、チームの一番いい時期に自分が関わっていることをうれしく思います。富士山女子駅伝も楽しみです」と縁の下の力持ちとして毎日を過ごしている。

4年生トリオの集大成

年末の富士山女子駅伝は4年生部員にとって締めくくりの大会となる。今年の4年生は3名。主将の加世田選手、そして副将の小森星七選手、寮長の加藤綾華選手と、いずれもチーム内で重要な役割を担っている。

小森選手は1年時には富士山女子駅伝で4区(区間15位)を走ったものの、その後結果が出ない時期が続き、悩みを抱えることも多くなった。2年生の5月ごろには退部を考え、2週間ほど部を離れて休みをとった期間もあるという。それ以降も何度も退部が頭をよぎることがあったが、「できることをやろう」という思いでここまで続けてこられたと話す。最上級生になった今では、「チームのことが加世田選手に任せきりにならないよう支えていきたい」と日々考えている。
富士山女子駅伝では走り以外の面でのサポートでチームを先導していきたい意向だ。「4年間は長かったですが、残りわずか。最後のこの期間、みんなのために頑張ろうと思います。加世田が走りで引っ張っているから、自分は他の面でチームを引っ張って、いい締めくくりができるといいなと思います」。最後まで自身の役割を全うするつもりだ。

寮長の加藤選手は2018年富士山女子駅伝の初優勝メンバーだ。当時2年生の加藤選手は3区を走って区間4位だった。今年の杜の都駅伝でも10人のエントリーメンバーに選ばれており、故障で出場は叶わなかったものの、最後の富士山女子駅伝では出場メンバーの座を勝ち取るべく、練習に励んでいる。
11月には約3週間、教育実習のため母校のある三重に帰っていた。実習終了後、米田監督監督に報告の連絡をした際、「これから最後の勝負だぞ」と返信を受け取ったそうだ。「監督の言葉がとてもうれしくて、最後まで諦めずにやっていこうと思いました」と、ラストチャンスに向けて前向きに取り組んでいる。
「名城大の選手は皆意識が高く、伸びている選手ばかりです。メンバー争いも激しく、悔しい思いをすることもありますが、だからこそ自分の競技力を向上することができているのだと思っています」と話している。「まだやりきったとは思えていないので、今後も競技を続けます」と、卒業後は実業団へ進む予定だ。

今年の主将を務める加世田選手は1年目から主要大会に出場し続けており、3年時から駅伝メンバー最高学年としてチームを牽引している。
加世田選手が入学する前の名城大は2005年の杜の都駅伝初制覇以来、優勝に届かない年が続いていた。そんななか、加世田選手は「自分がチームを優勝させるというはっきりした目標を持って名城大に入りました」と入学時を振り返る。高校卒業後の進路は、実業団に入ることも含めさまざまな選択肢があったが、「職業として走るにはまだまだ未熟だと思い、自分を成長させてくれる大学を選ぼうと考えました。米田監督に高校の早い段階で声をかけてもらったこと、そして名城大の厳しさと楽しさのメリハリに魅力を感じ、進学を決めました」と話す。1年目の杜の都駅伝で早くも目標の優勝をチームにもたらし、黄金時代の幕を開いた。
2年時には一つ下の学年に髙松選手、和田選手という全国トップクラスの選手が加入し、チームはさらに強化されていった。

だが、加世田選手にとっては練習で他の選手に負けることが耐え難く、オーバーワーク気味になり疲労骨折を起こしてしまった時期もあった。それでも「ケガをするまでは強い選手に対する嫉妬心のような気持ちばかりでしたが、練習できない期間に2人を外からの視点で見て、とても努力をしていることがわかりました。後輩ですが、真似できるところは真似して学ぶことができたと思います」と、苦い経験も糧にできたと振り返る。
4年目でも自己記録を更新し、まさに名城大で大きく成長を遂げた。卒業後も競技を続けるが、名城大のユニフォームで駅伝を走るのは富士山女子駅伝が最後。「集大成の走りをします」と誓っている。

3人の4年生が盛り立ててきた今年のチーム。「加世田が本当に心を開いて話せるのは同級生の2人。彼女たちが加世田の原動力になって、これまでの結果があったと思います」と米田監督が話すように、チームの先頭に立ってきた加世田選手の活躍に、加藤選手、小森選手の存在は欠かせない。最上級生は全員で分担して、それぞれが自分の役割を果たしながら最後の駅伝に向けて準備を整えている。
4年生にとって集大成となる富士山女子駅伝は12月30日午前10時にスタートする。優勝すれば3年連続の大学女子駅伝2冠。主将の加世田選手は「これまでで一番いい駅伝をします」と宣言した。どんな継走によって、どんな好記録が打ち立てられるのか。期待は高まる一方だ。