トップページ/ニュース 池上彰教授と外国語学部教員が懇談

「コミュニケーション力は傾聴力」

  • 懇談会の後、池上彰授と一緒に記念撮影 懇談会の後、池上彰授と一緒に記念撮影
  • テレビでおなじみの語り口の池上彰教授 テレビでおなじみの語り口の池上彰教授

池上彰教授と外国語学部教員9人との懇談会が6月13日、ナゴヤドーム前キャンパスで開かれ、教育?研究に関するさまざまな質問に池上教授が明快に答えました。学生のコミュニケーション能力に関して「コミュニケーション力は相手の話を聞く力」と話した上で、「ゼミの中で学生同士で質問し合う時間を設けたらどうですか」と教員たちに提案しました。豊富な取材経験や幅広い教養に基づくアドバイスが次々と得られ、充実した懇談となりました。

教員の質問に示唆に富む回答続々

  • 質問に答える池上彰教授 質問に答える池上彰教授

主な質疑

Q.学生が論文を書く時のデータ収集法。

A.学生はまずインターネットで調べる。ウィキペディアを見てもいいが、出典に当たるようにと言っている。図書館や書店で出典の本を探すように薦めている。さらに、書かれていることがすべて正しいとは信じず、おやっと思ったら調べる。筆者が思いもよらない勘違いだったりする。翻訳も意味が通らないと思ったら、誤訳だったりする。

Q.小学校での英語教育への感想。

A.個人的には小学校からの英語教育には反対。日本語がきちんとでき、論理的な思考ができた上で外国語を学ぶべきだ。テレビ局には帰国子女のアナウンサーがいて外国の首脳にインタビューするが、「子どもの英語をしゃべる」と不思議がられる。子どものころに覚えた英語と、大人が使う英語は違うからだ。

Q.大学4年間で必ず身につけてほしいスキル。

A.日本の教育は、高校までは先生の問いかけに対して、先生が求める答えを出すこと。それはAI(人工知能)に置き換えられる。AIには問いを立てることができない。自分で問いを立てる批判的な精神を4年間で培ってほしい。

Q.マニュアルのない社会でどう活躍していくか。

A.世界の大学ランキングが発表されるが、欧米の大学が高位にいる。それは欧米社会に都合のいい指標で測られるからだ。若者たちには、ルールが与えられることを待っているのではなく、自らマニュアルを作る意識を身につけてほしい。

Q.外国語を学ぶ意義。

A.日本語との違いを知ること。新たな気づきがあり、他国の文化を学ぶことができる。先生は英語とともにさまざまな外国事情を教えることが大切だ。私は経済学を教えているが、最初に国際情勢の話をし、広い視野を持ってもらう。

Q.学生の主体的な学習を促すためにどうしているか。

A.とにかく質問をしなさいと口を酸っぱくして言っている。初歩的な質問も受けるが、自分の気づきとして勉強になる。授業の終わりには、次の週の予告をして関心を持ってもらうようにしている。

Q.就職で必要なコミュニケーション能力を高めるために大学は何ができるか。

A.私が面接担当なら、わざと意地悪な質問をする。答えに困ってから、立ち上がってくる能力をみる。どんな質問にも笑みを絶やさず、落ち着いて論理的な答えをする人なら筆記試験や出身大学に関係なく採用したい。コミュニケーション力は相手の話を聞く力。ゼミの中で学生同士で質問し合う時間を設けたらどうですか。

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